IGEM:Chiba/2009/Project: Difference between revisions
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:2008年のプロジェクトは多細胞間の同時時間制御システムを構築を目指すというものでした。 | :2008年のプロジェクトは多細胞間の同時時間制御システムを構築を目指すというものでした。 | ||
時間を生物に計らせる方法として、私たちが考えたのは[http://ja.wikipedia.org/wiki/水時計 水時計]のシステムを生物に模倣させようというものでした。 | 時間を生物に計らせる方法として、私たちが考えたのは[http://ja.wikipedia.org/wiki/水時計 水時計]のシステムを生物に模倣させようというものでした。 | ||
水時計とは、容器に水が流入するようにして、その水面の高さの変化で時をはかる時計のことです。 | 水時計とは、容器に水が流入するようにして、その水面の高さの変化で時をはかる時計のことです。 | ||
いかにして、生物に水時計の機構を模倣させるか。そこで私たちが注目したのは[http://ja.wikipedia.org/wiki/クオラムセンシング クオラムセンシング]というバクテリアの通信機構でした。 | |||
クオラムセンシングは、同種の菌の生息密度を感知して、それに応じて物質の産生をコントロールする機構です。この生息密度は同種のバクテリアから生産されるAHL(アシルホモセリンラクトン)と呼ばれる通信分子の濃度によって感知されます。 | クオラムセンシングは、同種の菌の生息密度を感知して、それに応じて物質の産生をコントロールする機構です。この生息密度は同種のバクテリアから生産されるAHL(アシルホモセリンラクトン)と呼ばれる通信分子の濃度によって感知されます。 | ||
私たちはこのクオラムセンシングのAHLを水時計の水、通信がおこる濃度を時間を計る水面の高さとみたてて、生物版水時計を作成しようとしました。 | |||
通信が起こる時間を調節することができれば、計ることができる時間を調節することが可能になります。 | 通信が起こる時間を調節することができれば、計ることができる時間を調節することが可能になります。 | ||
この時間調節を可能にするために、私たちはAHLを生み出すSender CellとAHLの濃度を感じて出力するReceiver Cellを用意して、オリジナルのものよりも"遅延=Delay"が起こる通信システムを作ろうとしました。 | この時間調節を可能にするために、私たちはAHLを生み出すSender CellとAHLの濃度を感じて出力するReceiver Cellを用意して、オリジナルのものよりも"遅延=Delay"が起こる通信システムを作ろうとしました。 | ||
初めに考えたことは、AHLの出力速度を下げることと応答する閾値を上げることでした。 | |||
AHLの出力速度を変えるために、菌数比の調節(個体数を調節する・プラスミドのコピーナンバーを変える・RBSの種類を変える)やAiiA(AHLの分解酵素)を入れること。応答閾値を上げるために、菌数比の調節やMutantの作成を考えました。 | |||
次に考えたのは、この通信システムをオリジナルのモノではなく異種間で[http://ja.wikipedia.org/wiki/漏話 クロストーク]させることでした。クロストークで起こった通信にはDelayが生じるだろうと考えたからです。 | |||
AHLといっても種類は膨大であり、私たちはBiobrickにある、Lux・Rhl・Las・Cinの4つの通信パーツをつかってクロストークを起こさせようと考えました。 | AHLといっても種類は膨大であり、私たちはBiobrickにある、Lux・Rhl・Las・Cinの4つの通信パーツをつかってクロストークを起こさせようと考えました。 | ||
=== Conclusion === | |||
:Mutantの実験には時間の都合上、入ることができませんでしたが、クロストークを使った通信で、私たちはDelayを見ることに成功しました。 | |||
LasI-LuxRのクロストーク通信はLuxI-LuxRのオリジナル通信よりも、2時間のDelayがみられました。 | |||
また、このできあがったタイマーを使って、Dot paintingにも挑戦し、順々にGFPの色が浮かび上がってくる絵を描くことにも成功しました。 | |||
さらに詳しい内容や写真は、大会本部ページの[http://2008.igem.org/Team:Chiba iGEM Chiba 2008]をご覧ください。 | さらに詳しい内容や写真は、大会本部ページの[http://2008.igem.org/Team:Chiba iGEM Chiba 2008]をご覧ください。 | ||
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=== Project Design === |
Latest revision as of 23:37, 26 August 2009
2008 Project "E. coli Time Manager"
Project Design
- 2008年のプロジェクトは多細胞間の同時時間制御システムを構築を目指すというものでした。
時間を生物に計らせる方法として、私たちが考えたのは水時計のシステムを生物に模倣させようというものでした。 水時計とは、容器に水が流入するようにして、その水面の高さの変化で時をはかる時計のことです。
いかにして、生物に水時計の機構を模倣させるか。そこで私たちが注目したのはクオラムセンシングというバクテリアの通信機構でした。 クオラムセンシングは、同種の菌の生息密度を感知して、それに応じて物質の産生をコントロールする機構です。この生息密度は同種のバクテリアから生産されるAHL(アシルホモセリンラクトン)と呼ばれる通信分子の濃度によって感知されます。
私たちはこのクオラムセンシングのAHLを水時計の水、通信がおこる濃度を時間を計る水面の高さとみたてて、生物版水時計を作成しようとしました。 通信が起こる時間を調節することができれば、計ることができる時間を調節することが可能になります。 この時間調節を可能にするために、私たちはAHLを生み出すSender CellとAHLの濃度を感じて出力するReceiver Cellを用意して、オリジナルのものよりも"遅延=Delay"が起こる通信システムを作ろうとしました。
初めに考えたことは、AHLの出力速度を下げることと応答する閾値を上げることでした。 AHLの出力速度を変えるために、菌数比の調節(個体数を調節する・プラスミドのコピーナンバーを変える・RBSの種類を変える)やAiiA(AHLの分解酵素)を入れること。応答閾値を上げるために、菌数比の調節やMutantの作成を考えました。
次に考えたのは、この通信システムをオリジナルのモノではなく異種間でクロストークさせることでした。クロストークで起こった通信にはDelayが生じるだろうと考えたからです。 AHLといっても種類は膨大であり、私たちはBiobrickにある、Lux・Rhl・Las・Cinの4つの通信パーツをつかってクロストークを起こさせようと考えました。
Conclusion
- Mutantの実験には時間の都合上、入ることができませんでしたが、クロストークを使った通信で、私たちはDelayを見ることに成功しました。
LasI-LuxRのクロストーク通信はLuxI-LuxRのオリジナル通信よりも、2時間のDelayがみられました。
また、このできあがったタイマーを使って、Dot paintingにも挑戦し、順々にGFPの色が浮かび上がってくる絵を描くことにも成功しました。
さらに詳しい内容や写真は、大会本部ページのiGEM Chiba 2008をご覧ください。